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カナダ 原油パイプラインを整備して世界に販路を拡大する?!
カナダは世界トップクラスのオイルサンド産出国で、そのほとんどはアルバータ州で採掘されています。
現在、アメリカのみとなっているオイルサンド輸出先を、新しいパイプラインを建設(増強)することにより、経済発展著しいアジアやヨーロッパ各国へと市場を拡大を目指す。
オイルサンド生産量は今後も伸びると言われている中、石油プロジェクトの課題は
- 西部のアルバータ州から石油を出荷するパイプラインの輸送能力の不足
- 新たなパイプラインの敷設・拡張計画の遅れ
パイプライン拡張のメリット
- 雇用創出
- 経済回復
- トラックや列車で運ぶよりも安全
- 温室効果ガスの排出がより少ない
- 電車や車両で運搬するより環境に優しい
パイプライン建設のデメリット
- パイプラインで運ばれた石油を海上輸送するための海運による、シャチを食用する先住民への悪影響
- バンクーバーに到着して、そこから太平洋に出てからタンカーの運行により、CO2排出量も大きく増加
- パイプラインやタンカーからの原油漏れ事故が発生した場合、周辺環境への悪影響(過去に82件発生)
メリットの方が大きいから計画を実行したいカナダ政府
もともとパイプラインプロジェクトは民間企業の所有でしたが、カナダ政府が買い取ってプロジェクトを進めています。
- 2017年当時のブリティッシュコロンビア州知事も、パイプラインプロジェクトの結果上がる収益分配で合意し、さらに大きな州内経済効果があることから、この計画への支持を表明
- カナダ首相はデメリットがあっても、それより大きな経済効果・歳入拡大があるためこのパイプラインプロジェクトは公共の利益にかなっており進めるべきと提言
紛糾のトランス・マウンテンプロジェクト
現在のパイプラインは1953年に建設されたもので老朽化が進んでいます。
トランスマウンテン計画とは:
アルバータ州エドモントン市から、ブリティッシュコロンビア州のバーナビー市まで続く1200キロのパイプラインを新たに建設する計画。これにより輸送能力は3倍増(30万バレル→90万バレル)。
バーナビー市はバンクーバーの隣街です。バンクーバーエリアの中心を通るため、経路に含まれる地域社会の住民、先住民族、環境活動団体、BC州政府の反対も根強い状況で、現在も裁判沙汰なっています。
裁判所が計画を差し止め
反対派による訴訟問題にもなっているこのトランスマウンテンプロジェクト
裁判所は影響を受ける先住民とのコンセンサスが得られていないことや、環境評価を再検討するように命じて、計画を差し止めました。この計画は2022年中に運用開始とされていますが、今後もゴタゴタが続くとプロジェクトの推進には時間がかかるかもしれませんね。