カナダ アトランティックサーモン 業界の裏側

カナダ アトランティックサーモン 業界の裏側

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ぼくはカナダシーフード業界に10年いるので、

カナダ名物サーモン業界の裏側を知り尽くしています。

この記事を読めばバンクーバーで供給されるサーモンの種類、

養殖者の本音、品質の問題、そして流通の仕組みが理解できます。

カナダ産サーモンの9割が養殖

カナダ名物のサーモンは天然と養殖があって、

養殖物はアトランティックサーモンといいます。

このアトランティックサーモンは

バンクーバー沖にある養殖場で養殖されます。

サーモン養殖場は3社ある

そのブランドは以下の3種類です。
・マリンハーベスト

・サーマック

・オーシャンクオリティ

日本食レストランで使われる、

一番人気のサイズは以下の2種類になります。

10/12(10パウンドから12パウンド)
12/14(12パウンドから14パウンド)

1パウンドが454グラムなので、12パウンドなら一匹あたり5.5kgくらいになります。

これより大きいまたは小さいと、

寿司刺身用の魚としては取り扱いづらくなってしまいます。

寿司屋で使われるサーモンの90%が養殖のサーモン

冬にアトランティックサーモンの収穫が激減する理由

サーモンの養殖場の従業員は先住民族です。

そして12月はホリデーシーズンです。

先住民族が長期休暇に入ってしまうため、通常なら週に3回収穫があるものが週に1回になったりします。

供給不足、品質悪化の時期が2ヶ月以上継続する

するとマーケットに出回る魚も一番古いもので1周間前のものになり、

全体的な品質が落ちます。

また普段でも養殖場で病気が発生すると、しばらく稼働が止まってしまい、

業界でたちまち供給不足の状況になります。

これは自然の法則なので、卸業者の責任ではありません。

顧客の日本食レストランにはこの点を理解してもらう必要があります。

サーモンは生魚、品質の問題が発生する場合も多い

日焼けによる色素、打ち身、身がゼリー状に崩れるなど、

レストランが届いた魚をさばくまでは不良を把握できないのです。

よってサーモンはクレーム頻度ナンバー1の商品でもあり、取り扱い卸業者としても頭痛の種です。

ただ日本食レストランにとってサーモンは基本で莫大な金額が動きますから、

卸業者としても取り扱いをやめるわけにはいかないのです。

アトランティックサーモンは生で食べられるか?

生サーモンは寄生虫がいるから一度冷凍してからでないと

食べられないという誤解がありますが、

養殖のサーモンは寄生虫がいないので冷凍せずに生で食べられます。

天然のサーモン(紅鮭)は寄生虫がいるので一度冷凍保管しなければならない

カナダのサーモンは養殖で化学物質をたくさん使ってるから危険という人がいますが、

このような考えはカルト宗教と同じで単なるデマであり妄想です。

CFIAという食品の安全性を監視する政府機関が認めてる範囲で化学物質がつかわれてます。

カナダのアトランティックサーモンはカナダ政府の監視下で人工的に作られているからこそ安心安全なのです。

アトランティックサーモンの等級

寿司で使われるアトランティックサーモンはすべて同じ魚です。

ファストフードやスーパーのパックの寿司、

最高級の寿司屋でも原材料となる魚はまったく同じです。

実際は養殖サーモンは2級品や高級品もあるのですが、

2級品はグリルなど火を通せば問題ないのですが、刺し身では使えません。

どうせ高級品を使うならキングサーモンや紅鮭など別の格上の種類のサーモンを使う店がすべてです。

サーモン養殖場の本音

バンクーバー諸島にあるサーモン養殖場はカナダ国内にだけ出荷しているわけではありません。

アメリカはじめ、海外に輸出しています。

サーモン養殖場の本音としては、地元に出荷するより他国のほうが高くかってくれるのでもうかります。

カナダ国内に出荷しなくても困らないのが本音です。実際は出荷しないわけにもいかないので、

多少国内にも流してくれているというのがバンクーバーサーモン業界の裏側です。

まとめ

いかがでしたか?

カナダバンクーバーの日本食店を訪問したら必ず食べられるアトランティックサーモン。

日本でも時々カナダ産のアトランティックサーモンを見かけますね。

本記事は長年サーモン業界に関わったぼくの体験談です。

このような小ネタを知ってるとサーモンの味わいも一味かわるかもしれませんね。

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