バンクーバー 政府系酒屋の無期限ストが生活に与える影響

カナダ 政府系酒屋の無期限ストが生活に与える影響

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バンクーバーの最大手の酒屋チェーンのBCリカーストアに

酒を供給する倉庫が無期限ストに入りました(2022年8月19日現在)。

バンクーバーで酒のマーケティングの仕事をしていて、BCリカーストアとも密接に関わるぼくが、

今回のストがバンクーバー経済に与える影響を説明します。

バンクーバー酒流通の仕組み

バンクーバーの酒屋はBCリカーストアと言って政府系の酒屋と、

BCリカーストア以外の個人経営の酒屋があります。

どちらもBCリカーストアの倉庫から日々酒を調達しています。

その倉庫が無期限ストに入ってしまったので、各小売店舗への酒の物流が遮断されました。

酒屋や飲食店から酒がなくなるのは時間の問題

在庫がなくなれば酒屋は閉店するしかありません。

居酒屋など飲食業界は大部分の酒をBCリカーから購入する決まりになっています。

飲食店や個人は酒の輸入会社から直接酒を買うことはできません。

つまりBCリカーストアは飲食店にとって外すことはできない中間業者なのです。

BCリカーと州政府の対立の内容

ストライキの理由は従業員の待遇改善を求めてのことです。

政府としては2500ドルの契約ボーナスと、

今後3年間に毎年11%賃上げをオファーしたのですが組合側はそれを拒否。

バンクーバーの生活費の高さやインフレを補うのに十分ではないとのことです。

今後のBCリカーストアでの購入制限

このような状況を受けてBCリカーストアは顧客に対して購入制限を儲けます。

ひとり1種類につき3本まで
これは個人客に限らず居酒屋、バー、レストランなどの飲食店もこのルールが適用されます。
まるでジョークですよね。
というわけで酒屋だけでなく、飲食店からも酒がなくなるのは時間の問題です。
飲食店に酒が飲めないなら行かないという客も多いですから、
同時にフードの売上も失うことになります。
そしたら飲食店も店を閉めなければならない、残された従業員もクビ
BCリカーストアは150億ドル(1.5兆円)の売上で、12億ドル(1200億円)の利益を生み出す業界で

州の経済に与えるダメージはかりしれません。

BCリカー以外から酒を購入する方法

すべての酒の流通がBCリカーストア倉庫経由というわけではなくて、

ビールは購入制限の対象外となっています。

その理由は地元のビールの多くはBCリカー倉庫を通さない場合も多いからです。

ただ輸入のビールはすべてBCリカーの倉庫に入る仕組みになっているので、

これらが一番早く酒屋の店頭や飲食店から消えるのは時間の問題です。

そして飲食店は地元のブリューワリー、ワイナリー、スピリッツなど

他の酒類を製造しているメーカーから直接購入することは可能です。

よって多くの飲食店がこれらの製造所からの直接調達に走るでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

コロナから立ち直ろうとしてる飲食業界に対して、

さらに立ち直る機会をなくして、ダメージを与えるストライキです。

今回のデモは州内4つの倉庫で行われており、

州全体の40%のアルコール提供をカバーしています。

ちなみにストに入った従業員は給料の70%が支給されます。

何もしないで70%もらえるなら、彼らにとっては永久にストでいいと思っている人は多いと思います。

次回の労使交渉は未定でストライキが数ヶ月に渡ることも想定の範囲内です。